米澤穂信(新潮文庫)
年に一冊くらいのペースでミステリーが読みたくなります。
これは文庫化するのをずっと待っていました。
山本周五郎賞だけでなく、国内のミステリーランキングで3冠を達成した作品。
6篇ともテイストの全く異なる傑作揃いで、
ミステリー要素を抜いても充分読み応えがありそう。
そして褒め言葉としてあえて言うと、救いがなくて後味は良くない。
でもだからこそきっと、癖になる。
「夜警」「万灯」が好きです。
臆病者なら使い道がある。上手く育てれば、臆病が転じて慎重な警官になるかもしれない。無謀な者よりはよほどいい。どうにもならなくても、内勤にまわせばそつなくやっていくだろう。
だが、川藤のような小心者はいけない。あれは仲間にしておくのが怖いタイプの男だ。誤魔化そうとしたのが鍵のかけ忘れ程度ならかわいいものだ。実害はない。しかし、次もそうだとは限らない。
(「夜警」より)
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