吹上奇譚 第一話ミミとこだち

吉本ばなな(幻冬舎)
作者曰く「私がファンタジーを書くなんて、世も末」だそうだが、
この方の言葉、世界観に浸れる時間が、ただただ幸せ。
連作長編の第一話です。

舞台は奇妙な言い伝えがたくさんある街、吹上町。
双子のミミとこだちはこの街を出て東京で暮らしていたが、
ひとりで帰省したこだちが実家から姿を消してしまう。

1歳の子どもを見ながらなので、
どうしても細切れ読書になる(つまり長編は読みづらい)のに、
すぐ世界に引き戻してくれる。

大好きな『王国』シリーズに似た雰囲気もあって、
第二話がいまからとても楽しみです。

 赤ちゃんだったあなたたちのこと、大好きだったけれど、ずっと赤ちゃんだったらきっと飽きちゃったでしょう? あなたたちが育ち、新しい動きをしてくれるダイナミズム、その力で私も対応して動く。そんなふうに世界はできているんだから。いつだって動いてる、変わってる、流れてる。そういうのを味わうのが生きてるってことだもの。



▲a piece of cake 4u▽

ひと切れのケーキの力を信じて。 from岡山