小田嶋隆(晶文社)
Twitterやアンソロジーでこの方の短い文章は読んだことがありましたが、
まとまったものを読むのはこれが初めて。
さすがの切れ味でした。
政治、社会、芸能、スポーツ、あらゆるジャンルの出来事に斬ってかかるが、
決して軽いわけではないので、
その時代を振り返ることも出来て面白い。
「コイズミ・チルドレンの衰弱死」「脳と言える日本」「オヤジの夢に課税せよ」
などなど、タイトルを見るだけでも、
その切れ味と言葉のセンスをうかがい知ることができます。
「やまとことばではんなりと」が面白かったです。
"気づき"だの"寄り添う"だの私もいつの間にか使っていたもんなぁ。
こういう視点と発信力を持つ人は今の世の中ますます貴重に感じます。
でも、ものを書く人間や放送にたずさわる人間が臆病になってはいけない。面倒くさそうな団体や訴訟を起こして来そうな相手に対して、事前に表現を自主規制してしまったり、議論を呼びそうな表現や抗議がやってきそうな主張について、あらかじめの自粛と相互監視が横行するようになると、記事は間違いなく死ぬ。
というよりも、議論も起こらず、誰も傷つけず、どこからも抗議が来ないような記事なら、はじめから書く必要さえありゃしないのだ。(「腐った羊水の中で」より)
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