東田直樹(角川文庫)
『自閉症の僕が跳びはねる理由』を読んだときも衝撃でしたが、
本作はさらに表現が深く豊かになっているように感じました。
13歳と18歳の差でしょうか。
会話のできない重度の自閉症でありながら、
パソコンおよび文字盤ポインティングにより
コミュニケーションが可能な著者。
理解されにくかった自閉症者の内面を伝える著作は、翻訳され、
世界のどれだけ多くの自閉症者とその支援者を救っただろう。
自閉症でなくとも、例えば自分の子どもとのコミュニケーションに行き詰まったとき、
自分自身がつらくて息苦しくなったとき、
寄り添ってくれる言葉がたくさんありました。
巻末の短篇と詩も素晴らしかったです。
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僕が見ているものは、目の前の道なのです。ただ、道を歩くことが楽しいのです。道が僕を誘うからです。まるで、この道が幸せへの一本道であるかのように、一刻も早く歩き切りたいのです。
道に終わりはないために、幸せ探しの旅も終わりません。道を見ると駆け出さずにはいられない、そんな気持ちをわかってもらえるでしょうか。(「道」より)
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