高橋源一郎(集英社新書)
こんな小説を初めて読みました。
憲法改正、竹島問題、象徴天皇制などのアクチュアルなテーマが、
小学生の言葉で語られる。
「小説的社会批評」というらしい。
舞台はとある小学校。
「先生」ということばを使わず、「おとな」ということばを使う。
クラスにではなく、「プロジェクト」に入る。
そんなちょっと変わった学校。
主人公のランちゃんとその仲間たちは、夏休みに「くに」をつくることにした。
知性と個性に彩られた不思議な大人たちに見守られながら。
ランちゃんの目線で、ランちゃんの言葉で語られる世界はやわらかく、
今までより少しだけ、自由にものが考えられる気がした。
源ちゃんに始まり源ちゃんに終わった2017年の読書。
計24冊ということで月2冊のペースはまずまずかな。
来年も素敵な本に出逢えますように!
『おとな』というのは『ひとり』ではなすことができるひとのことです。たったひとり。条件というのは、そのひとに、名前があること。他には、なにもいらない。そのひとが、歳をとっているとか、中学生であるとか、左足に障害があるとか、おおきな通信会社の課長をしているとか、そういうことはすべて関係なく、ただ『ひとり』で、自分の名前をもっていて、それだけの条件で、なにかをはなす、あるいは、なにかを考える、それが『おとな』であることです。(「肝太先生のおはなし」より)
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