おめかしの引力

川上未映子(朝日新聞出版)
朝日新聞で連載されていた“おめかし”をめぐるあれこれ。
この方のエッセイを読むのは『きみは赤ちゃん』に続き2作目ですが、
1篇たった2ページでここまで読ませる力がすごい。

「大阪部」がすこんと顔を出す、パンツはけない初期設定、眉をめぐる緊張と快楽と、
ファストファッションに弾かれて、シルクが藁になる瞬間etc.
タイトルを読んでいくだけでも言葉選びのセンスを感じます。

出産後3か月くらいは自分の服にかまう余裕がなかったけど、
そろそろテンションを上げようと本を読むあたり私は決しておしゃれではないけど、
無事にテンションは上がりイヤリングを1つ買いました。

 おめかしの喜びとは、トライ&エラーの果てにやってくる、「つかのまの完璧なフィット感」なのかもしれません。ときどきすごく疲れるし、憂うつになるし、失敗も多くてイヤになるけど、でもそんな瞬間があるから、やめられない。それはまるで恋みたいなのだけど、素晴らしいのはそれがひとりで成立可能な恋だということで、これってまさに引力ですよね。
(「これからも着込みつづけます!」より)



▲a piece of cake 4u▽

ひと切れのケーキの力を信じて。 from岡山