上橋菜穂子(新潮文庫)
守り人シリーズ番外編。
ヒュウゴとバルサ、二人の十代の頃の物語。
本編を読み終わったのがだいぶ前だったので、
物語に入り込めるか心配でしたが、
すぐにこの世界に惹き込まれました。
登場人物はもちろん、
やはり世界観がすばらしく、
このファンタジーを母国語で読める幸せをかみしめました。
守り人シリーズを読み返したくなったけど、
10冊(きっと止まらない!)読んだら育休が終わる気がするので、
『鹿の王』にしようかな。
多くのものを見、裏の裏を見せられ、帝や民、国というもの、すべてが、いまは、あの頃とはまるで違うものに見えている。
それでもまだ、見えないものも多い。わからぬものも多い。いまこのときも、変わっていく流れが自分をとりまいている。寄せては返し、打ちあっては渦を巻く波のように、すべてのことは複雑にからみあい、底も行き先もさだかに見えない。
それでも、わずかずつ培ってきた、いくつもの絆が結びあわさり、いくつもの種が芽を吹き、ようやく、いま、新しい時代を生みだそうとしている。
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