北村薫(角川書店)
久々のミステリー。
日常にひそむ謎が描かれた短編集。
たしかに、日常には小さな謎がたくさんひそんでる。
それを見過ごしてしまうか、謎解きを楽しんでみるかで、
日常の味わいが少し違ったものになる気がする。
ただ、ミステリーの楽しみ方としては、
作者が付記で書いているように、
私も《犯人は誰か》などは考えないタイプ。
《名探偵》の持つ世界観だとか、
そこから来る特別なひらめきや個性的なキャラクターを楽しみます。
全7篇の中では、「遠い唇」「しりとり」「パトラッシュ」が好きです。
感情が込み上げる。
最初の鍵となる言葉。自分は、それを思い浮かべることが出来なかった。だが、今は分かる。キリマンジャロの高みを求める豹は、若い先輩にとって、胸を打つ大切なものだったのだ。
(「遠い唇」より)
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