高橋源一郎(朝日文庫)
今年2冊目の源ちゃん。
相変わらず選ぶことばが素敵すぎて、
読後はしばらく文章が書けなくなる(夫も同じ症状に陥っていた)。
東日本大震災以降、ことばはどう変わったのか。
詩や小説、活動家や政治家の演説を自在に引用し、ことばの本質に迫る。
2月からテレビの国会中継を見るようにしている。
そこにもたくさんのことばがあふれていて、
聞くに耐えない、と思うこともしばしばだ。
国の方針。反対意見。疑惑の追及。その釈明。
誰かへのアピール。ただの時間稼ぎ。ただの繰り返し。ただの棒読み。
国民の代弁?
ただ、ときどき、本当にときどき、これは本物のことばだなと思うこともある。
そこにその人の本当の想いが乗っていると感じられることが。
国会中継の見方としては不純かもしれないけど。
非常時には本物のことばが必要になる。
東日本大震災からもうすぐ6年。
私たちはいくつ、そんなことばを紡ぎ、なにを変えることが出来ただろうか。
ことばも同じなのかもしれない。
なにも問題がないなら、ぼくたちを抑圧するものがなにもないのなら、ぼくたちに不満がなにひとつないなら、ぼくたちは、ことばを使おうと思うことさえないかもしれない。
なにかを(ことばで)表現したいと願うのは、どうしても埋めることができない欠落が、ぼくたちの中に生まれるからなのかもしれないのである。
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