彩瀬まる(幻冬舎文庫)
心に「ない」を抱える人々を描いた連作短編集、全5編。
この人の作品は初めて読みました。
亡くなった妻と、旧友と、家族と、付き合う女性と、同級生と。
骨と骨とが、強く、弱く、ぶつかり合う音が聞こえてくる気がした。
色彩よりはむしろ音が印象に残る。
ひりひりするほど痛くはない、
かさぶたをそっと撫でるような優しい作品たちでした。
幻冬舎文庫の女性作家フェア、
他にもいくつか面白そうなのがあるので読んでみようかな。
これから、無限になれない体を引きずって、何度もあの子たちを傷つけるだろう。けれど、鼓膜を震わせる美しい音は、どれだけ孤独な場所であっても鳴る。きっと子供たちの耳にも繰り返し響く。ばらばらを越えて、救う力を、持っている。
(「ばらばら」より)
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