骨を彩る

彩瀬まる(幻冬舎文庫)

心に「ない」を抱える人々を描いた連作短編集、全5編。

この人の作品は初めて読みました。


亡くなった妻と、旧友と、家族と、付き合う女性と、同級生と。

骨と骨とが、強く、弱く、ぶつかり合う音が聞こえてくる気がした。

色彩よりはむしろ音が印象に残る。


ひりひりするほど痛くはない、

かさぶたをそっと撫でるような優しい作品たちでした。


幻冬舎文庫の女性作家フェア、

他にもいくつか面白そうなのがあるので読んでみようかな。


 これから、無限になれない体を引きずって、何度もあの子たちを傷つけるだろう。けれど、鼓膜を震わせる美しい音は、どれだけ孤独な場所であっても鳴る。きっと子供たちの耳にも繰り返し響く。ばらばらを越えて、救う力を、持っている。

(「ばらばら」より)



▲a piece of cake 4u▽

ひと切れのケーキの力を信じて。 from岡山