山崎ナオコーラ(文芸春秋)
エッセイ『かわいい夫』を読んでこの人の感覚好きだな、と思いTwitterをフォロー。
実家があった西荻窪駅前の書店で新刊のサインをしたことを知り、
ちょうど帰省のタイミングと合ったので中央線を途中下車して買いに行きました。
確実に死に近づいていく妻と、そこに寄り添う夫。
「生」にも「死」にも向き合う中で感じる、葛藤や違和感。
そんな感情がとても丁寧に描かれています。
この作者の物事を見つめる視線はとても静かで、
それはただ遠くから眺めているが故のものではない、
きちんと渦中に入ってもがいてなんとか浮上した人だけが得られるものだと思う。
「とりあえず……、死ぬまで修行中だから。他の人や昔の自分と比べないで、あと、未来にも思いを馳せないで、今の自分の環境だけを見ればいいんじゃないか、って……、まあ、そんな感じ。そうするとね、痛みがあるのが世界だ、と思うこともできるようになる。痛いときでも、並行して、幸せだな、と思っているときもある」
0コメント